国分寺崖線と等々力渓谷を散歩~田園調布・等々力③~
こんにちは
散歩ライフのポルトです。
いよいよ、田園調布・等々力の最終回になります。今回は、宝来公園から等々力駅までを紹介します。(これまでのストックから厳選した散歩になります)
地形の特徴
全行程、歩いたルートを赤線で示しています。今回は③~の部分です。まずは、このエリアの地形の特徴からです。
<地形の特徴>
・多摩川: 左上から右下へ流れています
・多摩川の低地:多摩川に削られて出来た低地です。地図の左下の緑色部分になります
・台地:茶色から黄色の部分です
・国分寺崖線:左上から右下へ続く台地(黄色)と低地(緑色)の境目は、崖になっています。国分寺から田園調布あたりまで続く崖のことを国分寺崖線と呼んでいます。
・国分寺崖線のところどころ、緑色に浸食されている部分が川跡と思われます
このエリアは、国分寺崖線上の影響で急坂が多くなっています。どれぐらいの勾配なのか、実際に坂を登ったり下ったりして、愉しんで来ました。
それでは、実際に行ってみましょう。街歩きスタートです。
急坂
早速、国分寺崖線上にある勾配22%の急坂です。勾配22%と言うのは、水平に100m進んだ時に22mの高さを下ることを意味しています。
真っすぐ続く坂の向こうに武蔵小杉のタワマン群が見えます。とても気持ちの良いアングルです。
坂を下って、照善寺の門前まで進んでいきます。
照善寺です。堅固な城壁と堀に守られているように見えます。多摩川の作った低地と台地の境がここにあり、その高低差が大きいため城壁のように見えています。
堀のように見えるのは、丸子川です。流れが穏やかなので水面に景色が映ってとてもきれいです。
川沿いの道を田園調布八幡神社まで進み、今度は、坂を登っていきます。
坂の名前は、なんと「急坂」。確かに急な坂だけど……。急坂を登り切らずに、坂の中腹から田園調布雙葉学園に向かいます。
途中、急勾配の坂を登り下りしながら進んで行きます。
急勾配の標識が至る所にあります!
籠谷戸(ろうやと)
玉川浄水場の崖下で湧き出した水の流れです。勢いのよい流れが心地よいです。
田園調布雙葉学園の裏で見られますが、すぐに暗渠になってしまいます。
先ほどの流れが暗渠になって、田園調布雙葉学園の敷地内を流れています。中央部分奥に向かって真っすぐに暗渠の痕跡が見られます。
この付近は、籠谷戸(ろうやと)と呼ばれ、昔は、このあたりまで多摩川の水が来ていたそうです。
宇佐神社に向かう道中、急勾配の坂を登り下りしながら進んで行きます。
今回、最も急勾配の坂です。なんと、26%です。
道しるべの石碑を見つけました。
左:籠谷戸、右:多摩川 と書かれています。左の道から歩いてきました。石碑は新しいので最近作り直されたのでしょう。知らずのうちに古道を歩いていたんですね。
昔の風景に思いをはせながら宇佐神社に向かいます。
宇佐神社
宇佐神社の隣を通る坂(寮の坂と呼ばれている)です。ぐぃんと曲がったS字カーブの坂がなんともイイ感じです。右側のこんもりした高台に宇佐神社があります。実はこの高台、古墳です。
八幡塚古墳の上に鎮座している宇佐神社です。古墳の上に神社を立てるケースは多いようです。
さらに、足を進めるとまた古墳がありました。
御岳山古墳です。このあたりに古墳が多いのは、近くに多摩川があり、古くから住みやすい土地だったからでしょうか
いよいよ、等々力渓谷に向かいます。
等々力渓谷
等々力渓谷に入っていきます。流れているのは矢沢川です。この辺りは、まだ渓谷の雰囲気はありません。
川沿いの道を進んでいくと、川の両側に崖があらわれました。あたりも薄暗く、渓谷らしくなってきます。
不動の滝に着きました。切り立った岩の一部から勢いよく水が湧き出しています。
滝の音が渓谷に轟いていたことから「等々力」と名付けられたそうです。今は、轟くほどの音はしないのですが、昔はどんだけ水量が多かったのでしょうか? 気になります。
階段を上って、等々力不動尊に向かいます。
崖を登っていくような急階段で息は切れますが、上からの眺めは、なかなかです。
台地の上には、不動尊が鎮座しています。不動尊は水と縁があるというのを聞いたことがあるのですが、先ほどの滝を思い浮かべると納得です。
先ほどの階段を下って、渓谷に戻ります。
渓谷を歩いていると、だんだんとヒンヤリとした空気を感じ、涼しくなってきます。また、ところどころで崖からの湧水が矢沢川に流れ込んできます。
ちょろちょろとした流れですが、透き通った水を飽きずに見ていると清々しい気持ちになります。
赤い橋「ゴルフ橋」が見えるといよいよ遊歩道も終わりです。川は上流に向かって続いているのですが、これ以上先には進めません。
階段を上って台地に出るとそこはもう住宅街、一気に現実に引き戻されました。こんな住宅街のど真ん中で大自然が堪能できるのは、すばらしいですね。今回は、ここまでになります。
あなたも、都会のオアシス・等々力渓谷で大自然を満喫してみては、いかがですか?
今回は以下の本を参考にさせて頂きました。ありがとうございました。
・東京23区凸凹地図(皆川典久・荻窪圭・松本泰生・本田創:著/昭文社)
・重ね地図で愉しむ 江戸東京「高低差」の秘密(竹内正浩・著/ 宝島社新書 )
特に「重ね地図で愉しむ 江戸東京「高低差」の秘密」は、地図上に高低差が色分けされていて、尾根筋・谷筋が手に取るようにわかります。さらに、見どころの写真が豊富に掲載されていて、街歩きに行く前のルート検討にも最適です。
もちろん、街歩き中に携帯し、地形を確認しながら歩くと、一層街歩きが楽しくなります。
田園調布~等々力エリアの街歩きをされる方には、是非お勧めしたい1冊です。
価格:1,210円(2021/11/28 8:00時点)、発売:2019年3月